「責任手当を支給することがある」旨定められている手当は、一方的に支給を打ち切れるのか?

規定文言からは支給・打切りは使用者の裁量と解されないでもないが、順次増額され、各職種への支給実態などから、労働契約の内容をなすもので、一方的には支給を打ち切れないとされた事例
(平成6.3.7 東京地裁判決 K病院事件)
判決の要点
責任手当の一方的支給打切りの可否
1.被告病院の賃金規程では、「各人の職務に応じて、責任手当を支給することがある。」と規定されている。
この文言だけから判断すると、責任手当の支給及び支給の打切りは、被告病院の裁量によると解されないではない。
2.しかし、証拠によると、原告は、技師として被告病院の透析業務に携わっていたことから、就職以来、平成2年9月までは毎月基本給や他の諸手当のほかに責任手当を支給され、原告は何ら異議なくこれを受領しており、その金額は、3,000円、5,000円、1万円、2万円というように順次増額され、平成2年には月額2万円とされていた。
3.被告病院は、原告に対する平成2年昇給通知書においても、給与額の内訳の中で、責任手当として2万円を記載していること、責任手当は、他の透析技師、看護婦、エックス線技師、理学療法担当職員などもその能力に応じて支給されていたこと、被告病院側からは職員に対して責任手当の性質について格別説明はなされていなかったこと、以上の事実が認められる。
これらの事実によると、責任手当は、労働契約の内容をなす賃金の一部を構成しているというべきであり、使用者である被告病院において一方的にその支給を打ち切ることはできないといわなければならない。
そうすると、原告は、被告病院に対し、平成2年10月分から平成3年1月分までの責任手当合計8万円の請求権を有することになる。
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