賃金減額に対する外形上の黙示の承諾が否定された事例があるのか?

管理職のみに対する賃金20%減額への承諾が、外形上、黙示的に承諾したと認めることが可能であっても、自由意思に基づく承諾と認められる、合理的理由が客観的に存在するといえないとされた事例
(平成12.12.27 東京高裁判決 更生会社M埠頭事件)
判決の要点
管理職のみの賃金20%減額に対する承諾の有効性・・・否定
1.各事実に照らすと、外形上、原告らは本件減額通知を黙示に承諾したものと認めることが可能である。
2.しかしながら、本件金証拠に照らしても、
@原告らが本件減額通知の根拠について十分な説明を受けたことも、
A被告会社が本件減額通知に対する各人の諾否の意思表示を明示的に求めようとしたことも認められず、
B承諾の意思を明確にするための書面の作成もなければ、個別に承諾の意思を確認されたこともなく、原告A及び同Bがその各本人尋問において、「本件減額通知に異議を述べなかったのは、異議を述べると解雇されると思ったからである」旨供述し、原告Cもその本人尋問において、「異議を述べなかったのは、自らの在籍期間が短く、他の人を差し置いて異議を述べるべきではないと思ったからで、賃金の控除に納得していたわけではない」旨供述している。
3.さらに、本件減額通知の内容は、管理職従業員についてその賃金の20%を控除するというもので、原告らの不利益が小さいとはいえないものである上、仮に被告会社の存続のためには賃金の切下げの差し迫った必要性があるというのであれば、各層の従業員に応分の負担を負わせるのが公平であると考えられる。
本件において、管理職従業員に対して一律20%の賃金の減額をすることが真に経済的合理性を有し、かつ、公平に適うものと認めるべき事情は存しない。
また、管理職従業員についてのみこのような小さくない負担を負わせるものとなっていることなどに鑑みると、原告らがその自由な意思に基づいて本件減額通知を承諾したものということはできない。
4.また、外形上承諾と受け取られるような不作為が原告らの自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するということもできない。
したがって、賃金の控除分の支払を求める原告らの請求はいずれも理由がある。
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