賞与の支給日に在籍する社員にのみ支給するという定めは、有効と認められるのか?

賞与は勤務時間に対する直接的な対価ではなく、賞与の支給・不支給、支給条件は特別の約定ないし就業規則で定まるものであり、支給日在籍を要件とする定め自体は違法とはいえないとされた事例
(昭和55.10.8 名古屋地裁判決 K鋳造所事件)
判決の要点
賞与支給規定の内容
1.被告会社における昭和46年4月制定の賞与支給規定によると、
@従業員の賞与は、毎年7月及び12月にその支給日に在籍する社員に支給する
A支給対象期間は、12月より5月まで、及び6月より11月までとする
B上記期間の考課は所属長が行い、本社において調整する
と規定されていることが認められる。
2.この規定によると、賞与は毎年7月及び12月に、その支給日に在籍する者に対してのみ支給され、支給額は支給対象期間の勤務内容等について考課を行い決定することが定められており、たとえ支給対象期間在勤していても支給日に在籍しない者には支給されない制度となっている。
支給日不在籍者には不支給とする規定の有効性
1.原告は、毎年一定時期に賞与を支給するとしながら支給日に在籍しない一事をもって賞与請求権を失うとする規定は、労働基準法の規定に照らし無効であると主張する。
しかし、賞与は、勤務時間で把握される勤務に対する直接的な対価ではなく、従業員の一定期間の勤務に対して支給される本来の給与とは別の包括的対価であって、一般にその金額はあらかじめ確定していないものである。
2.従って、労務提供があればその対価として必ず支払われる雇用契約上の本来的債務である賃金とは異なり、契約によって賞与を支払わないものもあれば、一定条件の下で支払う旨定めるものもあって、賞与の支給・不支給、支給するとして如何なる条件の下に支払うかは全て当事者間の特別の約定ないし就業規則等によって定まるというべきである。
故に、被告会社が賞与支給条件に関する就業規則(賞与支給規定)でそれらを規定すること自体は違法とはいえず、かくして確定した賞与を、当該規定によって認められる賞与請求権者に全額支払う限り、労働基準法24条1項に抵触するものではない。
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